ゲームには必ずと言っていいほど「ランダム要素」がある。
ゲームの制作者ですら完璧には把握できず、それはゲームを面白くするものであると同時に、ストレスの原因にもなってしまう。
今回は、ランダムがなぜ使われているのか、どういった役割があるのかを軽く語っていく。
面白いゲームには「予想外」が必要
そもそもなぜランダムが使われるのだろうか。
仮に「ランダム要素」が無いとどんなことが起こるだろうか。
敵のHPや攻撃力、行動パターンなどの情報はゲームにおいて重要だが、情報が多すぎるとかえって問題になる。行動の先の先まで計算されるといわゆる「定石」が生まれてしまう。こうなるとゲームの攻略は単調なものとなり、作業となってしまうはずだ。
このように、完璧な計画が立てられるとゲームは単調になってしまう。計画には破綻が必要であり、それがゲームを奥深いものにする。
では、ゲームを楽しむための「予想外」を創るにはどうしたらよいだろうか。
「予想外」を創る方法
「予想外」を創る方法を大まかに以下の4つに分けた。この中の1つが「ランダム要素」である。
情報の不開示
1つ目は、情報の一部を隠すという方法である。 例は以下の通り。
- 敵のHPや攻撃力が分からないRPG
- FPSでの敵の位置、構成の不明確さ
HP表示に注目してみると、モンハンではモンスターの挙動の変化、ドラクエやポケモンでは色で大雑把なHPが分かるようになっている。
自分の計画を立てたうえでの緊張感と期待感のあるゲームが楽しめる。
複雑なゲーム性
2つ目は、ゲームの複雑さを上げる方法である。 例は以下の通り。
- 将棋やチェスなど
- 神経衰弱
- カードゲーム
無数に手が考えられる中で自分の手を打つものがこれに含まれる。シンプルながら記憶力を競う神経衰弱もゲームを複雑にする。「考えることの多さ」が面白さに繋がるゲームである。
プレイヤーの成長
3つ目は、プレイヤーの熟練度に依存させる方法である。例は以下の通り。
- アクションゲームでの攻撃やジャンプなどのタイミング
- パターンの決まったシューティングゲーム
- 音ゲー
- 格闘ゲームのコマンド入力など
格闘ゲームや、いわゆる覚えゲー、死にゲーといったゲームも含まれると思う。相手は変化しないが、自分は変化するという相対的な変化を楽しめる。
「再現性」と「成長」がここでのポイントになる。
ランダム要素
最後が今回の主題でもある「ランダム性」である。
ランダム果たす役割の1つが『多様性』である。
形の違うステージを無限に生み出したり、アイテムを配置したり、質よりも量で勝負できる。良いところはプレイヤーがステージ把握をしなくてよくなり、プレイに集中できるという点だ。
2つ目の役割が『バランス調整』である。
パーティーゲームなどは実力の要素を少なくし、万人が楽しめるようになっている。また、FPSなどでは最初に入手する武器がランダムなことで全員にチャンスが与えられる。実力の出るマリオカートなどでは最下位に近いほど良いアイテムのでるよう確率が調整されている場合もある。
3つ目の役割が『報酬』である。
ドロップ率の低いアイテムがドロップしたときの達成感はとても大きくなる。また、これを応用したのがガチャであり、時間とお金をかけて楽しめるゲームを生み出している。
ゲームの中の「2つのランダム」
ランダムは2種類に分類される。
インプットランダム性
インプットランダムはゲームの一番最初に働くランダム要素である。ローグライクゲームのステージ生成やゲームの先手後手を決めるコイントスやじゃんけんもこれに該当する。例は以下の通り。
- マップの自動生成
- カードゲームの初期手札
- ボードゲームの先手後手
アウトプットランダム性
アウトプットランダムはプレイヤーが行動を起こした後に働くランダム要素である。そして、大抵のプレイヤーが不満に感じる要素がこのアウトプットランダムである。しかし、このランダム性があることで、リアリティ(攻撃がたまに外れたり、モンスターとのエンカウントなど)やリスク管理の概念を含んだプレイが可能になり、ゲームが奥深くなる。例は以下の通り。
- 歩いた際のランダムエンカウント
- 攻撃時のクリティカルや追加効果の発生
- 敵撃破時のアイテムのドロップ率
- ガチャ
まとめ
多くのゲームがこれらのランダム要素に制限を設けている。例えば、テトリスでは、7種類のテトリミノがあらかじめランダムに並び替えられてから順番に送り出されている。これによって永遠に『I』が来ないといった事態は無くなり、最長でも13手先に『I』が来ることになる。
あくまで「ランダム要素」はゲームを面白くする1要素に過ぎず、取り入れたからと言ってうまく働くとは限らない。
また、決してアウトプットランダムが悪、インプットランダムが善というわけではない。インプットランダムを前面に押し出したとして、結局は最初の引きで全て決まるとなるとはそれは退屈だと思う。そのゲームの趣旨に合った仕組みを考える必要があると感じた。
以上、お読みいただきありがとうございます。